たべちゃいたいほど、恋してる。
そして意を決したように小さく頷くと、パタパタと足音を鳴らしながら龍之介のもとへ走っていった。
「…龍くん!おはよう!」
「…おー…はよ…」
ピタリと龍之介の前で止まり元気よくにこやかに挨拶する優衣。
先程までの涙は何処へいったのか。
その後ろ姿が校門で先生に挨拶する小学生に見えたのはクラスメート全員一致の意見である。
元気のいい優衣とは対照的に、唸るような低い声で何とか返事を返す龍之介。
その手はぽんぽんと優しく優衣の頭を撫でている。
しかし、その目が優衣の全身を捉えた瞬間、龍之介の表情がピシリと凍りついた(同時に男子数名の小さな悲鳴が聞こえた)。
そして
ぐいっ
「…………ちょっと来い」
紡がれたのは不機嫌そうな声。