たべちゃいたいほど、恋してる。
「優衣」
「は、い…」
龍之介の声が耳に触れ、脳に伝わる。
ゆったりとした口調で低く甘く名前を呼ばれ、返事をするだけでも高鳴っていく心臓。
手のひらが震えるほど緊張しているのが優衣自身にもわかった。
(心臓、パーンってなっちゃう…!)
期待と不安が入り混じって動けない。
それをわかっているのか、龍之介はそっと優衣の右頬を撫でる。
「っ!」
ふるりと揺れる優衣の瞳。
「目、瞑れ」
逆らえないような強い声色でそう言われ、あとは龍之介にされるがまま。
自然と目蓋を閉じれば、唇に柔らかなぬくもりが触れた。
それはまるで夢心地の瞬間。
優しく触れたそれは優衣の呼吸すら飲み込んでしまいそうで。