たべちゃいたいほど、恋してる。




「お、大上くん!!」




泣く子も黙る孤高の一匹狼と悪名高い・大上龍之介。


綺麗にセットされた髪は彼の怖さを更に引き立たせている。


いつも、誰とつるむことなく常に一人でいる彼。


噂では喧嘩は無敗を誇り、彼の制服には沢山の血痕が残っていて、彼と目が合えば怪我は免れず、睨まれれば命はないらしい。


大上龍之介に近付くべからず。


それは生徒たちの暗黙の了解だ。


しかし、そんな噂を知ってか知らずか(恐らく知らないのだけど)、優衣は




「大上くんおはよう!あのね今日は今の時間音楽室なんだよ!大上くんも迷っちゃったの?」



と笑いかけた。

それはもう満面の笑みで。

周りにはふわふわと花すら飛んでいるように見える。


突っこむところは幾つかある優衣の発言だが、まず今は昼休みが終わり五限目が始まったところだ。

"おはよう"などという時間ではない。


そして当然ながら龍之介は迷子ではなくただのサボり。




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