たべちゃいたいほど、恋してる。




"あ?"と不機嫌そうに顔を上げれば、言わずもかな喚き声の主は喧嘩を売ってきた翔平で。


顔を夕焼けに劣らず真っ赤にさせて怒りながら、龍之介を睨みつけていた。




(つーか、まだいたのかよ)




今の今まで彼がここにいたことすらすっかり忘れていた龍之介。

声をかけられなかったら、そのまま歩きだしていたかもしれない。


面倒臭そうな表情を隠すことなく露にする龍之介に、翔平は更に噛みつくように吠える。


その姿、人に懐かぬ野良犬の如く。


そしてそのまま爆弾を落とす。




「遊佐優衣が男と同棲するってこと知ってんのかって聞いてんだよ!!」




一度で聞け!と怒鳴る翔平だが、そんな言葉はもう龍之介の耳に届いていなかった。




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