たべちゃいたいほど、恋してる。
「龍くん?」
名前を呼べば、眉間にしわを寄せながらも困ったように視線を彷徨わせている。
そして
「あー…あのさ…」
がしがしと頭を掻いた龍之介の口からようやく続いた言葉は、優衣がまったく予想していなかった言葉で。
「…優衣、男と同棲とか…するのか?」
その言葉に、優衣はぽかーんと目と口を開けて龍之介を見つめた。
その阿呆面の悲しいこと。
言われた言葉の意味をこれっぽっちも理解出来ていないことが一目瞭然である。
(男の人と暮らすの?誰が?…ん?私…?)
その沈黙、数十秒。
「…お父さん?」
「違う。てかそれは同棲じゃねぇ」
「じゃあ…龍くんと?」
「いや何で。まぁ…俺はそれでも全然いいけど」