たべちゃいたいほど、恋してる。
ふにゅ、と僅かに潰れている優衣の頬に龍之介はコクリと喉を鳴らす。
(…やべぇ…触りてぇ…)
恐らくかなりの柔らかさであろう優衣の頬に触りたい衝動を必死に耐える龍之介。
(……柔けぇよな…多分。…喰っちまいてぇ…)
ついつい手を出しそうになる龍之介だが、そういうわけにはいかない。
想いがないままコトに発展したら犯罪だ。
それ以前にそんな行為に意味なんてない。
(あぁ…やっぱ俺も男だったのか)
本気で頭を抱えたくなった龍之介だったが、優衣を抱えていたので眉をぐっと寄せるにとどまった。
そうこうしているうちに目の前に見えたのは目的地──音楽室。
(よかった。理性が残ってるうちに着いて)
「ほら、着いたぞ」
龍之介は一声かけてから優衣の背中と太ももを支え、ゆっくりその体をおろした。