たべちゃいたいほど、恋してる。
乱れた呼吸のせいで空気を上手く吸えないのか、時々けほけほと咳き込む音が聞こえる。
それでもこの場にいるのは優衣一人。
それを気にするものは誰一人いない。
差し伸ばしてくれる手はないけれど、今の優衣にはそれが有り難く感じた。
今誰かが来たら、それこそいらぬことを言ってしまいそうで。
今は、一人にしていて欲しい。
龍之介以外からの優しさは必要ない。
「…っ苦しいよぉ…」
ただその場に蹲る。
そんな優衣がようやく落ち着きを取り戻したのは、昼休みの終わりを告げるチャイムが学校中に鳴り響いた頃だった。
浅く呼吸を繰り返していた優衣は、両手で抱き締めていた鞄から一つの包みを取り出す。