たべちゃいたいほど、恋してる。
しかし、今となっては全て無駄なこと。
(…嫌われちゃったんだ)
そう思えば意識せずとも勝手に緩む涙腺。
それでも優衣が涙を零すことはない。
傍にいたかっただけ。
嫌われたくなかっただけ。
それだけなのに、することは裏目に出るばかりで。
結果的に井上の言った通りになってしまった。
最後に見た龍之介の迷惑そうな顔が頭から離れてくれない。
(…泣いたら、もっと嫌われちゃう)
それは嫌だ。だから泣かない、と必死に歯を食い縛る。
そんな優衣の手は白く色が変わるほど強く握り締められていた。
憎らしいほど綺麗な太陽が二人の心に大きな影を映しだす。
初めての恋は、あまりに苦い。
act 6*end.