たべちゃいたいほど、恋してる。
逢引きか何かと間違われそうなシチュエーションだ。
しかし、二人の間にそんな甘い雰囲気など一切ない。
寧ろ漂っているのは色の悪い不穏な空気で。
「うーちゃん…隠してるつもりみたいだけど、また…怪我してるでしょ」
夏希の疑問ではなく確信の言葉。
最近減ってたと思ったのに、と小さく付け足した夏希に健は一瞬躊躇いながらも、静かに首を縦に振る。
その言葉の無い返答に"やっぱり…"と顔を顰める夏希。
「知ってたんだ?うーの怪我のこと」
健の問いに不満そうな表情をしながらも、夏希は是の答えを返す。
「本人から直接聞いたわけじゃないけどね。言いたがらないし。でも見てればわかるって。だからあの子、男子とも極力関わりたがらないんでしょ?」