たべちゃいたいほど、恋してる。




それが理由かどうかはわからないが、今のところ特に物騒な物音は聞こえてきていない。


だが、相手は優衣の父親だ。

彼が帰ってきている以上、二人には優衣の身に何も起こっていないとは到底思えなかった。




「何かあると大変だからうちに来たら、とは言ったんだけど…ね」


「私も、そう言った」




上手くはぐらかされたけど、と言う夏希に困ったように笑って頷く健。

どうやら健も同じだったらしい。


二人が優衣にそう伝えたのは優衣の父親が帰ってきたと思われる翌日のこと。


いつもなら龍之介がいるためさほど心配しなかっただろうが、今回ばかりはそうもいかなくて。




「やーっと安心できる場所出来たと思ったんだけどなぁ」




< 446 / 574 >

この作品をシェア

pagetop