たべちゃいたいほど、恋してる。




夏希に背を向け窓の外に視線をやりながら苦笑する健。


いつもと同じ爽やかな笑み。


その顔がまったく笑えていないということに気付ける人間がこの学校に一体どれくらいいるのだろうか。

少なくとも健の横で同じような表情をして立っている夏希は気付いているのだろう。


そして思う。

本当に怖い男だと。


健は龍之介とはまた違う別の強さを持っている。

だから龍之介と健は仲が良いのだろうか。


彼はまさに騎士(ナイト)なのだ。


お姫様の危険を絶対に許さない。




「…どうするの?」


「仕方ないから…無理矢理にでも王子様を動かさないとね」




協力お願いします、という健の言葉に夏希は素直に首を縦に振った。


全ては大切なお姫様の笑顔の為。




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