たべちゃいたいほど、恋してる。
騎士たちは足踏みしている王子様を焚き付ける。
授業が始まっている今、二人の会話を邪魔するものは誰一人いない。
一方その頃。
誰もいない教室で自分が話題になっていることなどこれっぽっちも知らない優衣は、一人誰の目につかない屋上の隅で座り込んでいた。
昼休みはとうの昔に終わったというのに、優衣の目の前に残されているのは未だ手のつけられていない昼食。
それも二つ。
しかしその隣にはいつもいるはずの龍之介の姿はない。
あるのは目の前にある大きさの違う二つの弁当箱をじっと見つめる優衣の姿だけ。
龍之介を怒らせてしまったあの日から、優衣が学校で龍之介に会うことは滅多になくなっていた。