たべちゃいたいほど、恋してる。
新学期始まってそんな経ってねぇし、と自分にもっともらしい言い訳をしてから自室のベッドの上でぼふっと枕に顔を埋める。
光を閉ざした頭の中を巡るのは感情に任せ口走ってしまった自分の言葉。
そして優衣が見せた不自然なくらい綺麗な笑み。
それが優衣の防御反応なのだとすぐにわかったのに。
龍之介はあの後ろ姿を追い掛けることが出来なかった。
「…かっこわりぃ…」
枕に顔を埋めたまま小さくそう溜息を漏らす龍之介。
あんな顔をさせたかったわけじゃない。
頭に血がのぼって完全に冷静さを失っていたあの時。
(あんなこと、言うつもりじゃなかった)
戻れるならあの瞬間に戻りたいと切に願う。