たべちゃいたいほど､恋してる｡

にっこりという効果音がつきそうなほどの綺麗な笑みを浮かべながら更にきつく包帯を巻きつける百合に目を見開いた龍之介の顔が歪む｡


その笑みの背後にどす黒い何かが見えた気がしたのは龍之介の気のせいではないだろう｡


そんな龍之介を見ていないとでもいうように華麗に無視し､きつめの口調で言葉を続ける百合｡




｢喧嘩したか何だか知らないけど､さっさと謝んなさいよね｡大方あんたが悪いんだから｣




はぁ､と再び大きな溜息を吐いてそう言った百合の顔は龍之介のそれによく似ていて｡


声が低いわけでも､威圧感があるわけでもない｡


それでもずしりと重くのしかかる百合の言葉｡


しかし､簡単に頷くことは出来ない龍之介｡