たべちゃいたいほど、恋してる。




自分の顔鏡で見たの?という百合の言葉に、思わず手のひらで自分の顔を触る龍之介。


言われてみればここ最近、眉間に疲れを覚えるほど力が入っていたような感じがする。


その痛みは何だか久しぶりの感覚で。


それと同時に久しく自分が笑っていないことに気付いた。




(笑えるわけ、ねぇだろ)




優衣をあれだけ傷付けておいて自分一人がお気楽に笑えるはずがない。

それほど人間捨ててはいない。


自分が悪いなどということは、誰に言われずとも龍之介自身が一番よく理解している。


あの男、翔平から聞いた言葉に振り回されすぎた。


優衣はまったく知らないという顔をしていたのに。


嘘をついたりはしないとわかっていたのに。




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