たべちゃいたいほど、恋してる。




この家に初めて来たときの優衣は、それはもう全身で龍之介が好きだと叫んでいた。


本人は自覚していなかったようだが、はた目にそれは明らかで。


そしてそれに応える龍之介もまた同様。

その雰囲気は今まで見たことがないほど柔らかく鮮やかだった。


自然と甘く甘く彼女を包む龍之介の空気に、ようやく龍之介にも大切に思える子が出来たのだと家族全員で安堵の息を漏らしたのは記憶に新しい。




「わかってるから、あれだけ大事にしてたんでしょ?他人に、まして女の子に興味持たなかったあんたが大切にしたいと思ったんでしょ?」




そう問い掛けた百合の言葉に大人しく口を閉じる龍之介。


わかっているのだ。

百合の言葉に間違いは一つもない。




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