たべちゃいたいほど、恋してる。
ついてないと思いながらふと横に顔を向けると、見えたのは通りに面したお店のガラスに映る自分の姿。
「…なっさけねぇ顔…」
映っていたのは自分でも見たことが無いような情けない顔で。
いつもの、強さの欠片も感じられない自身の顔に笑うことすら出来ない。
(こんな顔で歩いてたのか)
これでは百合に心配されても仕方ないと納得する龍之介。
どう考えても自信に満ちた強い男には見えない。
(ただ図体がでかいだけの野郎かっつの…)
今の龍之介を見たら、あの翔平は嬉々として喧嘩を仕掛けてくるだろう。
負ける気はもちろんしないが、対抗する気が起きないのもまた事実。
それくらい、今の龍之介は弱っていた。