たべちゃいたいほど、恋してる。
着信履歴を埋め尽くすのは見知った健の名前。
健からこれほど電話がくるのは珍しい。
それ故にどことなく過る嫌な予感。
(何だ?緊急?)
そう想いながら携帯の画面と睨み合っていると、タイミングよく再び着信を告げる光。
相手はもちろん連続して十三回も連絡を入れてきた健だった。
表示された名前に慌てて電話を取る龍之介。
「はいもしも…」
『あ、龍!?よかったー!やっと出た!』
出るの遅いよ、と電話口から聞こえる龍之介よりも少し高い健の声。
そのいつも通りの口調とは裏腹に、届く声に不安定さが混じっているように聞こえたのは龍之介の勘違いではないだろう。
どこか、健の様子がおかしい。