たべちゃいたいほど、恋してる。




「なんだよ。気持ち悪いくらい電話してきやがって。昨日のメールは適当に返してきたくせに」




そんな違和感を健に感じながらも、顔を顰め不機嫌そうな声で健に問い掛ける龍之介。

後半の一文は完全に関係のない文句である。


しかしそんな龍之介の不機嫌さなど気にする健ではなくて。


その質問を待っていましたとでも言うように、勢い良く言葉を吐き出した。


その第一声に龍之介はごくりと息をのむ。




「そんな文句聞いてる場合じゃないんだよ!優衣が危ないんだって!」




一瞬、世界が色を見失った。



"優衣が危ない"



健の口から電話越しに聞こえたその言葉に、大きく見開かれた龍之介の目。

頭の中で鳴り響く危険を知らせる警報。




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