たべちゃいたいほど、恋してる。
健が優衣のことを"うー"ではなく"優衣"と呼んでいることからも状況が緊迫していることが窺える。
龍之介の背中につーっと流れる嫌な汗。
健の焦ったような声を聞きながら龍之介の頭を過るのは翔平と名乗ったあの男の言葉で。
(まさか、どっかの野郎が…?)
あの時確かに翔平は言っていた。
龍之介の彼女の存在が有名になっていると。
あの言葉が本当に本当なら優衣の身に危険が迫っていてもおかしくはない。
ここ最近、龍之介が優衣の傍にいることは少なくて。
健がいたにしろ、龍之介を痛め付けたい人間には絶好の機会であったのは間違いなかった。
しかし、そんな龍之介の考えは次の健の言葉によって簡単に覆されることになる。
それも最悪な形で。