たべちゃいたいほど、恋してる。
どうやらこれ以上優衣を父親のもとには置いておけないという結論に至ったらしい。
それからというもの、今まで家には滅多に寄り付かなかった父親が頻繁に帰っているという。
あまりに不自然なその行動が気になった母親が家を訪ねたが門前払い状態。
中に入れてもらえないというのだ。
その話を聞いた龍之介の体を例えようのない不安感が襲う。
(優衣の親父さんが…帰ってる…?)
龍之介の知らぬ間に変わってきていた優衣を取り巻く状況。
優衣の父親といえば、龍之介の知るかぎり彼女に危害を加える一番身近な人物。
彼のせいで優衣が身も心も傷ついていることは、それこそ初めて雨の中で彼女を見つけた日から知っていた。
あの涙の理由だったのだから。