たべちゃいたいほど、恋してる。




それでも優衣が父親を恨むことはなくて。

寧ろ、とても大切に思っていた。

悪く言うことすらなかった。


だから、自分のもとで目一杯泣かせてやりたいと思ったのだ。


普段の涙とは違うたくさんの悲しみを抱えたそれを。


それなのに。




(何で気付かなかったんだよ…!)




一番に気付くべきだった優衣を一人にしたときの最大の不安要素。


何故気が回らなかったのだと自身に腹がたった。

正に後悔先に立たず。


健の話から優衣の体には既に新しい傷が出来ているのだろうことは十分に予想できる。


何故気付けなかったのか。


それほど自分は彼女と距離をとってしまっていたのか。

それほど見えていなかったのか。


そう思えば後悔の念は尽きない。



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