たべちゃいたいほど、恋してる。
そんな電話口で唸り始めた龍之介に、はぁ…と大きな溜息を吐く健。
そして
「龍さ…いい加減うーとちゃんと話しなよ」
と怒ったような声で投げ掛けた。
機械越しに伝わる健の言葉に胸の奥が悲鳴を上げる。
(わかってんだよ、そんなこと)
それを声に出来ないのは龍之介の弱さかプライドか。
「うー…毎日一人で屋上行ってるよ。あの方向音痴のうーが」
言いたいことわかるだろ?と言う健に遂に押し黙る龍之介。
痛んだ胸はどんどんと息苦しさを伴っていく。
きゅうきゅうと痛む柔らかな場所。
それは増していく一方で。
もう"好き"という言葉以外当てはまらない痛み。
痛いほどわかるのだ。
健の言いたいことが。