たべちゃいたいほど、恋してる。




"うーの奴、今日学校来てないんだ。連絡もないし。もしかしたら家から出れないのかも…"




電話を切る間際、深刻そうな声でそう言った健に龍之介は難しげに顔を顰めた。


聞けば夏希にもメール一つ届いていないらしい。


今まで毎朝夏希に連絡していた優衣。

何一つ音沙汰ないのは不自然すぎた。


その事実に深くなる龍之介の眉間のしわ。


そして静かに目の前に立つ優衣の家を見上げる。


龍之介の記憶が正しければ、優衣の部屋はこの道路に面した場所にあるはずで。

しかし、その部屋は真っ暗なままカーテンがきっちりと閉められていた。


そこでようやく違和感の原因に気付く。


思い返せば、優衣が不在中に部屋のカーテンが閉まっていたことは今まで一度もない。




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