たべちゃいたいほど、恋してる。
そこでカチリと欠けていたピースがはまる。
(つーことは…親父さん、今もいんのか…?)
そう考えれば瞬時に龍之介の体から吹き出す嫌な汗。
家には滅多に帰ってこないはずの父親がこんな昼間から家にいて。
そのせいで優衣が家から出れないのだとしたら。
(まさ、か…)
最悪な状況が頭を過る。
龍之介の体を襲う悪い予感。
今ばかりはそうことに滅法強い自分の感の良さを呪いたくなった。
慌ててポケットに突っ込んだばかりの携帯電話を取り出す。
動揺しながらも電話帳から引き出すのは優衣の番号で。
とにかく安否を確かめなくてはと通話ボタンを押そうとした時。
ピリリリリ…
突然響いた着信音。
画面に映った相手の名前に龍之介は目を見開く。
「優、衣…?」