たべちゃいたいほど、恋してる。




そして肩で息をしながらきつく目を瞑る。



ガンガンガンッ!




「優衣!!開けろ!!開けなさい!!」




部屋の前で足音が止まり、それに変わるように父親の擦れた声が優衣の耳に聞こえてきた。

その声にびくりと優衣の体が揺れる。


きっちりとカーテンの閉められた薄暗い部屋に響く父親の声とドアを叩く音。

無意識のうちに再び乱れていく優衣の呼吸。


酔っているのが一目でわかるその声はヒステリックに優衣の名前を叫び続ける。


家具を通して伝わる叩かれた扉の振動は優衣に恐怖を植え付けて。

闇に広がる声は恐怖を煽っていった。


震える体を必死に押さえ耳を塞ぎながらどうにかその声を聞かないようにする優衣。


父親の口から紡がれる自分の名に吐き気すら感じながら。




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