たべちゃいたいほど、恋してる。




「…っ!」




握り締めている服は乱れ、首筋から鎖骨・胸元にかけては鬱血痕のようなものがいくつも残されていた。


そんな状況が物語るのはただ一つ。


性的暴力。


遂に実の父親がそこに手を出したのだ。


引き金となかったのは間違いなく母親の再婚話だろう。

どうやらあの日、優衣の母親はその事実を伝えに来たらしい。

しかしそれは父の逆鱗に触れ、今この状況が生まれた。




(怖い怖い怖い)




母親を恨もうという気は微塵もないが、怖いものは怖くて。


酸素を上手く取り込むことが出来ず乱れる呼吸。

浅く短い呼吸だけが繰り返される。


きつく胸元の服を握りカタカタと震えながら父親が諦めて部屋の前からいなくなるのを待つ優衣。




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