たべちゃいたいほど、恋してる。
それが、今優衣に出来る唯一のこと。
一体いつになったら鳴り止むのか。
予想さえ出来ないその声と音に、優衣は固く目を瞑った。
どうかどうか。この悪夢が早く過ぎ去るように。
その時。
カツン、
「…?」
固い何かが優衣の足先に当たる。
地味な痛みを感じたそれに閉じていた目蓋をゆっくり持ち上げ足元を見れば、あったのは床に転がっていたらしい携帯電話で。
どうやらベッドの上の枕元から落ちてきていたらしい。
ここ数日怖くて開くことすらしていなかったそれ。
優衣は恐る恐る手を伸ばし携帯電話を手に取った。
コクリと喉を鳴らし震える手で携帯を開く。
(龍、くん…)
二つ折りの携帯を開けば待ち受けに映るのは龍之介の横顔。