たべちゃいたいほど、恋してる。
いつからか数えることすら怖くて出来なくなっていた。
優衣が泣いているといつだって誰より早く見つけだしてくれる龍之介。
辛いときは自然と隣にいて不安を消すようにぎゅっと抱き締めてくれる。
いつも優衣を安心させてくれる温もりと香り。
今はその匂いも消えてしまって。
それが寂しくて仕方ない。
優衣はおもむろベッドへと手を伸ばすと枕元に置いてある龍之介から貰ったパーカーを手に取る。
そしてまるで自身の身を守るように大きなそれで体を包むと、すぅと深く息を吸い込んだ。
(龍くん、龍くん…っ)
届くことのない名前を必死に紡ぐ。
ほんの僅かに香る残り香に堪えきれず零れる涙。
それは真珠のようにカーテンの隙間から微かに漏れる光で輝く。