たべちゃいたいほど、恋してる。
ガチャ...
ゆっくりと音をたてて開いたのは龍之介の部屋の扉。
家には誰もいないのか、静寂が二人を包む。
訪れたのは二回目になる龍之介の部屋には相変わらず必要最低限のものしか置いていない。
質素にも感じるそこには龍之介の香りが充満していて。
思わずくんと鼻を動かす優衣。
部屋に帰ってきた龍之介の手には、優衣の小さな手がしっかりと握られていた。
ここに着くまで一瞬も離されなかった手は、時折その強さを増す。
その熱で想いの全てを伝えるように。
優衣もまたその手を強く握り返した。
「…優衣、悪かった」
静かすぎる空気の中、先に口を開いたのは龍之介で。
ぽつりと。
零れるように落ちたそれ。