たべちゃいたいほど、恋してる。




届いたその言葉に俯いていた顔を上げる優衣。


すると見上げた先に、申し訳なさそうに顔を歪める龍之介の姿が見えた。


優衣より少し前に立っている龍之介。

その表情を全て見ることは出来ないけれど。

それでも辛そうなことだけは見て取れて。




(何で…?)




その顔に今度は優衣が泣きそうに顔を歪める。



とすっ



龍之介のそんな顔は見たくない。


そんな想いを訴えるかのように、優衣は後ろから龍之介の腰に抱きついた。

そしてぎゅうっと力を込める。


突然の衝撃に驚いた龍之介が振り返れば、そこには背中に頭をくっつけながらしがみついている優衣の姿。


腰に回った手は離さないと言わんばかりにきつく、そして甘く龍之介を拘束する。




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