たべちゃいたいほど、恋してる。
絡み付く白く細い腕が龍之介の理性を揺らした。
「…謝っちゃやだって、言ったもん…」
そんな龍之介の心情など知る由もなく。
上から見てもわかるほど、ぷくっと頬を膨らませて拗ねている優衣。
いやいや、と左右に頭を振っている。
怒ったように眉を寄せながらもその瞳は悲しそうに揺れていて。
思わずごくりと鳴る龍之介の喉。
その柔らかな頬に触れたい。
今すぐその目蓋に、唇に触れたい。
そんな衝動に駆られた龍之介だったが、今はそんな場面ではないとぐっと堪えて優衣に向き直る。
「でも、俺…親父さん殴っちまった、し」
そして伝える謝罪の意味。
その言葉に優衣が小さく体を揺らす。
本当のことを言えば、謝りたいことはそれ以外にもたくさんあった。