たべちゃいたいほど、恋してる。
傍を離れてしまったこと。
酷い言葉を向けてしまったこと。
理不尽に優衣を傷つけてしまったこと。
他にも、たくさん。
その中でも、優衣の父親を殴ってしまったことを龍之介はどうしても謝りたかった。
後悔しているのかと聞かれたらそれは否だ。
しかし、優衣がどれだけ父親を大切に思っていたのか龍之介はしていたから。
そんな彼に拳を向けてしまったことだけは謝らなくてはと思っていた。
だが、そんな龍之介の思いとは裏腹に優衣はブンブンと首を横に振る。
謝るなと訴えるように何度も。
そんな優衣に困ったように眉を下げながら、自分より大分低い位置にある優衣の頭を撫でてやる龍之介。
優衣の柔らかな栗色の髪を龍之介の指が滑る。