たべちゃいたいほど、恋してる。
ようやく抱き締めてやれたのだと。
この腕の中で泣かせてやれたと龍之介はほっと安堵の息を吐いた。
そして優衣もまた腕の中で、まだ呆れられていないのだと安心する。
そして曝け出される胸のうち。
「おと、さ…が…」
「うん」
「おかあさ…っ再婚するって…」
「…うん」
「そしたら…!お父さん、ばんって…目が、目が…っ」
龍之介の胸に顔を埋めながら必死に言葉を紡ぐ優衣。
支離滅裂だが、その恐怖はしっかりと龍之介に伝わってくる。
時折言葉に詰まりながらも、心に積もった感情を吐き出すように言葉は止まらない。
龍之介は小さな相槌を返しながら、ただただ静かに優衣の話に耳を傾けていた。
そして優衣の口が動くのを終えた頃。
「…怖かったな」