たべちゃいたいほど、恋してる。




"もう、大丈夫だから"




そう言って優衣の前髪を指で払い、額にゆっくりとキスを送る龍之介。


小さく響いたリップノイズが優衣の耳に届く。


一番傍にいなくてはならないときに、自分勝手に離れてしまった。

その思いが龍之介の心を苦しめる。


離れてしまったが故に起きてしまったこの事態。

襲ってくる後悔の念は計り知れない。




「…お父さ…っ私のこと…嫌いになっちゃったの…?」


「っ!」





肌に伝わる優衣の悲痛に満ちたその言葉。

それに龍之介の息が詰まる。


大好きだった。

本当に大好きだった父親。


彼を信じて母親のもとに逃げることなく家に留まっていた優衣。


いつか、昔のような仲の良い関係に戻れることを一心に信じて。



それなのに。




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