たべちゃいたいほど、恋してる。
初めての、手探りの恋。
そう言ってしまえば簡単かもしれない。
仕方ないことかもしれないけれど。
それでももう、同じような思いはしたくないから。
髪から伝わる龍之介の手の動きに誘われるよう、自然と動き始める優衣の唇。
少しでも、その優しさに答えたくて。
龍之介は溜息一つ聞き逃さないようにと優衣の顔に自分の顔を近付け、こつんと額を合わせた。
それを合図に紡がれる言葉たち。
「あのね…い、井上さんに、会って…」
「…またあの女か…」
優衣の口から出た井上の名前に、呆れたように溜息を吐き眉間に深いしわを刻む龍之介。
その溜息に優衣がびくりと体を揺らせば、違うからと優しく頬を撫で先を促す。
ぐすぐすと鼻を啜りながら、優衣は促されるままに言葉を続けた。