たべちゃいたいほど、恋してる。
「お前見てるとあいつを思い出して苛々するんだよ!!この役立たずが!!」
遂にはリビングにあった椅子まで持ち出した父親に命の危機を感じた優衣だったが、散々暴行を加えられた体は逃げたいという意に反して動いてはくれなくて。
辛うじて動く腕で頭だけは何とか守ろう、と必死にそれを耐える優衣。
耐えることしか、知らない。
視界に映った父の顔はまるで阿修羅の如く。
そして、それを黙って見ている女の顔は悪魔のように歪んでいた。
(痛い痛い痛い)
(嫌だよ)
(何で?)
(なんでこうなっちゃったの?)
涙を堪え、ギュッと目を瞑りながら呪文のように自分に問い掛ける。
(怖いよ、痛いよ)
抜け出せない迷路のような思考。
ただただ早く終わることを願うしか出来ない。