たべちゃいたいほど、恋してる。




「それ、で…龍くんが、迷惑してるって…」




あの時の井上の声と顔が頭を過り、じわりと優衣の視界を揺らしていく新しい涙。


迷惑を掛けているという自覚はあった。

いつだって龍之介は優衣に優しすぎるから。


だからこそ井上の言葉がずしりと胸に刺さってしまって。


また小さく、ごめんなさいの言葉が優衣の口から漏れる。


そんな優衣に降り注いだのは、それはもう盛大すぎる溜息。

そして次の瞬間には優衣の柔らかな頬をぐにっと左手で摘んだ龍之介がいた。




「何で、そんなん信じたんだよ」




俺の言葉だけ信じてろって言っただろ。


そう言いながらぐにぐにと頬を引っ張る龍之介。

その顔はどこか拗ねているようにも見えて。




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