たべちゃいたいほど、恋してる。
優衣が浮気だなんだなど器用なことを出来る性格でないのは誰の目にも明らかで。
ただ真っすぐな気持ちで向かってくるのが優衣なのだ。
何故、一瞬でも疑ってしまったのか。
そんな真っすぐな優衣の気持ちは間違いなく龍之介だけに注がれていたというのに。
しかしそれは優衣とて同じで。
龍之介の気持ちは確かに優衣だけに向いていた。
十分それを感じられていたはずの二人。
優衣と龍之介は互いを必要としている。
しかし、ふとした瞬間の小さなずれでそれがわからなくなってしまっていた。
壁として立ちふさがってしまっていたのだ。
【不安】という大きな靄が。
本人たちすらも気付かないうちに。