たべちゃいたいほど、恋してる。




だってあんなに優しくて。

好きだって言ってくれる。

傍にいてくれる。




(ぎゅって、してくれる)




バンッ




「そ、そんなことないもん!」




想いが爆発したと同時に、大きな音をたて机を叩き勢い良く立ち上がった優衣。


その音に教室にいた生徒たちは何事かと一斉に音のするほうへ視線を向けた。


勿論、優衣の前に立ちふさがっていた彼女たちもまた然り。

驚きに目を見開き優衣を見ている。




「お、狼は愛情深いんだよ!!」




そんな周りの視線などなんのその。

そんなもの一切お構いなしに優衣は肩で息をしながら大声で叫んだ。


そして昨日の話を思い出す。

龍之介がしてくれた、一匹の狼の話を。




< 560 / 574 >

この作品をシェア

pagetop