たべちゃいたいほど、恋してる。
一方その頃。
「龍くん、ケーキ!ケーキ食べたいね!」
「帰ったら優衣の好きなやつ作ってやるから今は我慢な」
「はいっ!」
教室に取り残されたクラスメートたちがそんなことを思いながら固まっているなど露ほども知らず。
手を繋いだまま仲良く校門にむかって歩く二人。
ケーキが食べたいと繋いでいる手を揺らしながら強請る優衣に、龍之介は了承の意を示して頷いた。
(龍くんのケーキ!龍くんのケーキ!)
そんじょそこらのお店より格段に美味しいことを知っている優衣は、幸せそうに口元を緩める。
そんな時。
ふと校門の向こうに見えた見覚えのある姿。
「…あれ?」
先に足を止めたのは優衣で。
つられるように龍之介の足も止まる。