たべちゃいたいほど、恋してる。
確かにどことなく似ている二人。
そんな二人のやりとりを横目に、龍之介は彼女の後ろから歩いてくる男に目を凝らす。
(…どっかで見たような…)
そんな気がするのだが、どこで見たのか思い出せない。
「…あの。貴方もしかして…」
男の顔を見ながらぼんやりとそんなことを考えていた龍之介に声をかけたのは、先程まで娘を揺すっていた優衣の母親だという彼女で。
「あ、大上龍之介です」
彼女の声に思考を戻し頭を下げる龍之介。
それも顔に似合わずとても丁寧に。
そんな龍之介の名前を聞くや、嬉しそうに反応する彼女。
笑った顔はやはり優衣に似ている。
しかしそれ以上に龍之介の名前に反応したのは、いつのまにか彼女の横に立っていた男の方だった。