たべちゃいたいほど、恋してる。
「…遊佐、だよな?どうした?」
声はだんだんと近付いて。
ふと、雨が止んだ。
「……お、がみ…くん…?」
膝に埋めていた顔を上げれば5日間会うことの出来なかった龍之介の姿。
ビニール傘を優衣に傾け雨を防いでくれている。
「何やってんだ、こんな雨んなか」
風邪引くだろ、と自分が着ていた上着を脱ぎ優衣にかけてやる龍之介。
優衣の体が龍之介の匂いに包まれた。
香水臭くない、煙草とほんのり甘さが混じった龍之介の香り。
担がれた日に感じたものと同じ匂いのそれに、優衣は漸く龍之介が目の前にいる現状を理解した。
それともに訪れた理由のわからない安堵感。
「…お、がみ…く…っ…大、上くんっ…!」
優衣は無意識な龍之介の大きな体に手を伸ばした。