たべちゃいたいほど、恋してる。
(確かに、ちょっとやりすぎたとは思う)
だが、どう考えても被害者は龍之介だった。
相手は複数。
しかもバットや鉄パイプなど見るからにを持っていて。
対する龍之介は完璧な丸腰。
(正直ちょっと焦った)
龍之介も人間だ。
物で叩かれれば痛いし、怪我だってする。
鉄パイプが直撃したら死ぬ可能性もある。
そんな龍之介を支えているのが、幼い頃父に叩き込まれた武術である。
剣道・柔道・空手。
それこそ、ありとあらゆるものを教えられてきたのだ。
それが、喧嘩をするにあたって龍之介を大きな怪我から守っている。
しかし、あの日謹慎処分を受けたのは龍之介一人で。
言い分すら聞いてもらえず一方的に言い渡されたそれ。
他校の生徒は補導されるどころか、校門の前で帰宅を促されていた。
言いたいことは山ほど、文句を言えば謹慎が延びると自分に言い聞かせ言葉をのんだ龍之介。
(まぁ…全員打ちのめしたからな)
とはいえ武器相手に素手で応戦した龍之介も怪我をしているわけで。
謹慎をラッキーだと思ったのも嘘ではなかったりするのだが。