たべちゃいたいほど、恋してる。
それが五日前の話。
謹慎も最終日に差し掛かった日。
珍しく家族全員が出払った家の冷蔵庫を開け龍之介は溜息を吐いた。
(何にも入ってねぇ…)
「…スーパーくらいなら平気だよな」
左頬に大きなガーゼを貼った龍之介は、腹減ったし…と謹慎中にもかかわらず一人外へ出るべく支度を始めた。
ちらりと窓から見えた空は雨模様。
「…雨降りそうだな」
靴を履きながらポツリと呟く。
雲行きの怪しい空を見て、玄関に立て掛けてあったビニール傘を手に取ると龍之介は家から一歩踏み出した。