たべちゃいたいほど、恋してる。
スーパーに足を踏み入れた龍之介は、簡単に調理できそうな食材を適当に籠に放り込みさっさと会計を済ませた。
所要時間およそ十分。
(まぁ一人分だし、こんなもんだろ)
必要なものを手にスーパーを出て数分後。
ポツ…ポツ…
「…降ってきやがった」
予想通り降り始めた雨に溜息を零しながらも持っていた傘をさす。
瞬く間に強まる雨足。
「あ、やべぇ。飲み物ねぇじゃん」
ふと買い物袋を見れば買い忘れがあることに気付いた。
しかし、今からスーパーに戻るのは幾分面倒な気もする。
「…仕方ねぇ。コンビニで買うか」
仕方なしに道の途中にあるコンビニで買い足すことにした龍之介。
この選択をしてよかったと後で思うことになるなど、この時の龍之介は思いもしなかった。