たべちゃいたいほど、恋してる。
傘もささず、雨に打たれる小さな体に近づけば近づくほど龍之介の脳裏に浮かぶ一人の女の姿。
(いやいや…まさか、な…)
違うにきまってる、とその考えを振り払おうとしたとき
「…っ大上く…」
微かに聞こえた龍之介の名を呼ぶか細い声。
それは間違いなく五日前に聞いた小さな女の声で。
「…………遊佐?」
(なんでこんなとこに?)
不審に思いながらも思わず声をかければ、びくりと震えた体。
それは自分を抱き締めるようにさらに小さくなる。
龍之介は無意識に未だ顔を上げない彼女であろう小さな体へ近づいていった。
「…遊佐、だよな?どうした?」
ほぼ確信に近い問い掛けをしながら雨を防ぐよう傘を傾けてやる。
目の前にしゃがみ込めば漸く彼女は顔を上げた。