たべちゃいたいほど、恋してる。
(まぁ…でも…)
「…ありがとな」
すっと優衣の手からクッキーを受け取る。
優衣は驚いたように目を丸くしていたが次第にその表情を崩し、ふにゃんと笑った
「っ!」
優衣の笑った顔に僅かに息をのんだ龍之介だったが、軽く呼吸を整えると
「やっと笑った。お前は笑っとけ」
と目に溜まった涙を拭ってやる。
喉まででかかった"笑った方が可愛い"という言葉は口に出さずにしまい込んだ龍之介。
「じゃあな」
ポンポンと頭を叩き今度こそ歩きだした龍之介に優衣は何度もありがとうを繰り反していた。
その声を背中に聞き龍之介は少し遠くなった自宅を目指す。