たべちゃいたいほど、恋してる。




呼んだことなどないはずの優衣の名を呼ぶ龍之介が身体中を支配して。

やけにリアルに響くそれ。

脳内に浮かぶ彼は頭の奥の方で優しく笑い繰り返し優衣の名を呼ぶ。


その刺激の強すぎる妄想に優衣は耐えきれず勢いよくベッドに沈んだ。




(じゅ、重症だよ…!どうしたらいいのぉ…)




優衣は抱き枕を叩いたり抱き締めたりしながら悶々とベッドの上を転がり続ける。

その間も心臓はドキドキと鼓動を早め、顔は熱を帯びるばかり。


自分の妄想力に愕然としながらも、優衣は火照る頭の隅で思った。




「…呼んでくれ、ない、よね…」




誰もいない部屋に寂しげに響く優衣の小さな胸の内。




(本当はね…呼びたいの、彼の名前。呼んでほしいの、私の名前)


(何でそう思うのかわからないけど…)


(大上くんに呼んでもらえたら、特別な名前になる気がするんだ)




「なんだろう、この気持ち」






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