また会う日まで
優輝が歌い終わっても、私は目を開けることが出来なかった。
「恵那?どうした?」
優輝に声をかけられ、気付かれないように手の平で涙を拭う。
「もしかして、この曲もう好きじゃなかった?」
「今でも好きだよ。」
「じゃあ、何で泣いてるの?」
やっぱり気付かれていたらしい。
「優輝が覚えててくれたのが嬉しくて。
あっ、もう時間だし出ようか。」
「恵那っ。」
カバンを持って立ち上がった私の腕を優輝が引っ張る。
ポスンと優輝の胸元に倒れ込んでしまった。
「恵那、俺…。」
その先の言葉を優輝は言わなかった。
そして、私達は手を繋いでカラオケをあとにした。